アメリカの標準時子午線を完全解説｜州ごとの時差・タイムゾーン一覧と地図で理解

アメリカは、東西に広大な国土を持つため、世界でも珍しいほど多くの標準時子午線を採用しています。

この記事では、アメリカの標準時子午線の仕組みをやさしく解説し、州ごとの時差や10種類のタイムゾーンを一覧表と地図でわかりやすく紹介します。

さらに、日本との時差や夏時間（サマータイム）の違い、ビジネスや旅行での時間管理のコツまで徹底的に解説。

アメリカの時間を正確に理解することは、国際的な交流や計画をスムーズに進める第一歩です。

この記事を読めば、「アメリカのどの都市が今何時なのか」がすぐにわかり、時差で迷わない時間感覚を身につけられます。

アメリカの標準時子午線とは？

「アメリカ標準時子午線」という言葉を耳にすると、少し難しそうに感じますよね。

でも実は、地球の仕組みと時間の決め方を理解すれば、すぐにスッキリします。

この章では、まず「子午線」と「標準時」の基本から、アメリカが複数の時間帯を持つ理由までを整理していきましょう。

子午線と標準時の基本：なぜ時間は場所によって違うのか

地球は24時間で1回転します。

つまり、地球上の360度を24時間で割ると、1時間あたり15度ずつ太陽の位置が変わる計算になります。

この基準となるのが本初子午線（経度0度）で、イギリスのグリニッジ天文台を通る経線です。

世界中の国は、この本初子午線からの角度に応じて時刻を決めています。

その国や地域が共通で使う基準の時間を「標準時」と呼び、基準となる経線を「標準時子午線」といいます。

用語	意味
子午線	地球の北極と南極を結ぶ経線。
標準時	国や地域で共通に使う時間の基準。
標準時子午線	標準時を決める基準となる経線。

たとえば、日本の標準時は「東経135度」を基準にしており、これは兵庫県明石市を通る子午線です。

一方、アメリカはその国土の広さから、ひとつの標準時では対応しきれません。

アメリカが複数の標準時を持つ理由

アメリカの東西の距離はなんと約4,500キロメートル。

もし全国で同じ標準時を使ってしまうと、東部と西部で日の出・日の入りのタイミングが3時間以上ずれてしまうのです。

そのため、アメリカでは地域ごとに太陽の位置に合わせて複数の標準時子午線を設けています。

これにより、地域の人々の生活リズムが自然と太陽の動きに近づき、無理のない時間感覚で暮らせるようになります。

タイムゾーン	基準経度	採用地域の例
東部標準時（EST）	西経75度	ニューヨーク、ワシントンD.C.
中部標準時（CST）	西経90度	シカゴ、ダラス
山岳部標準時（MST）	西経105度	デンバー、フェニックス
太平洋標準時（PST）	西経120度	ロサンゼルス、シアトル

この4本の標準時子午線がアメリカ本土の時間を決める基本構造です。

それでは次に、実際に「アメリカの標準時子午線が何本あるのか」を詳しく見ていきましょう。

アメリカの標準時子午線は何本？

アメリカの標準時子午線の本数は、単純に「4本」と思われがちですが、実際にはもう少し奥が深い話です。

本土に加えて、アラスカ・ハワイ・海外領土などを含めると、合計で6本以上の標準時子午線が存在します。

本土の4本：東から西へ15度ずつの子午線

アメリカ本土における標準時子午線は、約15度ずつ西にずれています。

これは地球の自転（1時間で15度進む）に合わせて設計されており、非常に理にかなった仕組みです。

標準時	基準子午線（経度）	主な州
東部標準時（EST）	西経75度	ニューヨーク州、フロリダ州
中部標準時（CST）	西経90度	テキサス州、イリノイ州
山岳部標準時（MST）	西経105度	コロラド州、アリゾナ州
太平洋標準時（PST）	西経120度	カリフォルニア州、ワシントン州

この4本の子午線によって、アメリカ本土全体の時間が秩序立てられています。

たとえば、ニューヨークが午前9時のとき、ロサンゼルスは午前6時になります。

つまり西へ行くほど時間が遅くなるという仕組みです。

アラスカ・ハワイを含めた追加の子午線

アメリカは本土だけでなく、遠く離れた地域にも標準時子午線を持っています。

北のアラスカ、そして太平洋に浮かぶハワイでは、それぞれ異なる標準時が設定されています。

地域	標準時	基準経度	主な都市
アラスカ	アラスカ標準時（AKST）	西経135度	アンカレッジ、フェアバンクス
ハワイ・アリューシャン	ハワイ・アリューシャン標準時（HAST）	西経150度	ホノルル

これにより、アメリカ全体で見ると少なくとも6本の標準時子午線が存在することになります。

さらに、グアムやサモアといった海外領土まで含めると、その数は10以上に拡張されます。

この多層的な時刻制度によって、アメリカは広大な国土でも正確で効率的な時間管理を実現しているのです。

アメリカのタイムゾーン一覧と対応する州

ここでは、アメリカに存在する全てのタイムゾーンと、それぞれのゾーンに属する代表的な州を整理していきます。

アメリカ本土の4大ゾーンを中心に、アラスカ・ハワイ、そして海外領土まで含めると、なんと10種類のタイムゾーンが存在します。

この章を読めば、どの州がどの時間を採用しているかが一目で分かります。

本土4大ゾーン（東部・中部・山岳部・太平洋）

アメリカ本土では、東から西へと4つの主要タイムゾーンが並んでいます。

それぞれのゾーンは、先ほどの標準時子午線に基づいて設定されています。

タイムゾーン名	略称	協定世界時(UTC)との時差	主な州・都市
東部標準時	EST	UTC−5（夏時間中は−4）	ニューヨーク、フロリダ、ジョージア
中部標準時	CST	UTC−6（夏時間中は−5）	テキサス、イリノイ、ミネソタ
山岳部標準時	MST	UTC−7（夏時間中は−6）	コロラド、アリゾナ（※一部を除く）
太平洋標準時	PST	UTC−8（夏時間中は−7）	カリフォルニア、ワシントン、オレゴン

多くの州では夏時間（サマータイム）を導入しており、3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは1時間早められます。

ただし、アリゾナ州とハワイ州は夏時間を採用していないため、時期によって時差のズレが発生します。

海外領土を含めた全10タイムゾーン一覧

アメリカには本土以外にも、アラスカ・ハワイ・グアムなど多くの海外領土が存在します。

それらの地域も独自のタイムゾーンを持っています。

タイムゾーン名	略称	UTC時差	地域・州
大西洋標準時	AST	UTC−4	プエルトリコ、米領バージン諸島
東部標準時	EST	UTC−5	ニューヨーク、フロリダ
中部標準時	CST	UTC−6	テキサス、シカゴ
山岳部標準時	MST	UTC−7	コロラド、ユタ
太平洋標準時	PST	UTC−8	カリフォルニア、ワシントン
アラスカ標準時	AKST	UTC−9	アラスカ州
ハワイ・アリューシャン標準時	HAST	UTC−10	ハワイ諸島
サモア標準時	SST	UTC−11	アメリカ領サモア
チャモロ標準時	ChST	UTC+10	グアム、北マリアナ諸島
ベーカー島時間	BIS	UTC−12	ベーカー島（無人島）

このようにアメリカは実に10種類の標準時を運用しており、世界でも最も多様な時間制度を持つ国のひとつです。

日本とアメリカの時差を完全比較

日本とアメリカの時差は、アメリカが複数のタイムゾーンを持つため、都市によって大きく異なります。

また、夏時間（サマータイム）の有無によっても差が変わるため、時期ごとに確認が必要です。

この章では、主要都市ごとの時差を一覧にまとめ、さらに夏時間による変動を解説します。

主要都市ごとの時差早見表（EST～HASTまで）

以下の表は、日本標準時（JST, UTC+9）を基準にした各都市との時差をまとめたものです。

都市	標準時	時差（通常）	時差（夏時間中）
ニューヨーク	東部標準時（EST）	−14時間	−13時間
シカゴ	中部標準時（CST）	−15時間	−14時間
デンバー	山岳部標準時（MST）	−16時間	−15時間
ロサンゼルス	太平洋標準時（PST）	−17時間	−16時間
アンカレッジ	アラスカ標準時（AKST）	−18時間	−17時間
ホノルル	ハワイ・アリューシャン標準時（HAST）	−19時間	（夏時間なし）

たとえば、日本時間が午前10時のとき、ニューヨークでは前日の午後8時、ロサンゼルスでは前日の午後5時となります。

このズレを理解しておくことは、国際会議のスケジュール調整や旅行計画に不可欠です。

夏時間（DST）による時差変動の仕組み

アメリカでは多くの地域で夏時間（Daylight Saving Time: DST）が導入されています。

これは、夏季の明るい時間を有効活用するために、時計を1時間進める制度です。

夏時間の期間は、通常3月の第2日曜日〜11月の第1日曜日までです。

項目	内容
開始時期	3月第2日曜日（午前2時→午前3時に変更）
終了時期	11月第1日曜日（午前2時→午前1時に戻す）
非対象地域	アリゾナ州、ハワイ州

この制度により、夏の時期はアメリカ全体の時差が1時間縮まります。

たとえば、通常日本とニューヨークの時差は14時間ですが、夏時間中は13時間に短縮されます。

国際ビジネスではこの“1時間のズレ”が商談成功を左右することもあるため、注意が必要です。

州ごとの時差一覧とタイムゾーン地図の見方

アメリカのタイムゾーンを正確に理解するには、州ごとの位置関係を地図で確認することが重要です。

多くの州は単一のタイムゾーンに属しますが、州によってはタイムゾーンが途中で分かれている場合もあります。

この章では、州ごとの時差一覧と、タイムゾーン地図を読み解くポイントを解説します。

代表的な州ごとの時間差

以下の表では、日本時間（JST）を基準に、主要なアメリカの州とその時差を一覧にしています。

旅行や国際会議の際の参考にご活用ください。

州	標準時	時差（通常）	時差（夏時間中）	備考
ニューヨーク	東部標準時（EST）	−14時間	−13時間	政治・経済の中心地
テキサス	中部標準時（CST）	−15時間	−14時間	一部西部は山岳部時間
アリゾナ	山岳部標準時（MST）	−16時間	（夏時間なし）	州全体でDST非採用
カリフォルニア	太平洋標準時（PST）	−17時間	−16時間	日本との連絡頻度が多い州
アラスカ	アラスカ標準時（AKST）	−18時間	−17時間	夏の白夜が特徴
ハワイ	ハワイ・アリューシャン標準時（HAST）	−19時間	（夏時間なし）	リゾート・観光地

このように、アメリカ国内でも最大で5時間の差が生じます。

同じ国内であっても、時間帯の違いを意識して予定を立てる必要があります。

タイムゾーン地図で確認するポイント

アメリカのタイムゾーン地図は、各地域の標準時子午線を視覚的に示しています。

地図を確認するときのポイントは次の3つです。

① 州の中央を通る経線を確認する：多くの州は、標準時子午線を境に時間が分かれます。
② 州境付近の都市に注意：州境を挟んでタイムゾーンが変わるケース（例：インディアナ州、アイダホ州など）。
③ 夏時間の有無を確認：同じタイムゾーンでも、DST採用の有無で1時間ずれることがあります。

特にアメリカ中西部や山岳地帯では、タイムゾーンの境界が入り組んでいるため注意が必要です。

地図を利用すれば、時間差を視覚的に把握できるため、ビジネスや旅行の計画が格段に立てやすくなります。

確認項目	重要性
州ごとの境界線	★★★（タイムゾーン変化の基本）
標準時子午線の経度	★★（地理的理解に重要）
夏時間の有無	★★★（スケジュール調整に直結）

「地図で見て覚える」ことが、時差理解の最短ルートです。

次は、この時差をどのように日常や仕事で活かせるかを見ていきましょう。

ビジネス・旅行での時間管理のコツ

アメリカのようにタイムゾーンが多い国では、時間管理が成功の鍵になります。

この章では、ビジネスと旅行の両面から、時差を味方にする実践的なテクニックを紹介します。

ビジネスシーンでのスケジュール調整方法

海外取引やオンライン会議の際、相手の時間帯を把握することは基本です。

アメリカの場合、東西の3時間差を無視すると、会議が「夜中に設定されてしまう」ことも珍しくありません。

そこでおすすめなのが、「UTC（協定世界時）」を基準に全員の予定を合わせる方法です。

地域	UTC	日本時間との時差
ニューヨーク	UTC−5	−14時間
ロサンゼルス	UTC−8	−17時間
東京	UTC+9	＋0（基準）

たとえば、日本時間の午前10時に会議を設定する場合、ロサンゼルスでは前日の午後5時になります。

この差を自動的に変換してくれるツール（例：Googleカレンダーの「Time Zone」機能）を活用すると便利です。

また、メールの送信時間も現地時間に合わせると、返信率が上がりやすくなります。

旅行時に混乱しないための時差対策

時差ぼけ（Jet Lag）は、体内時計が現地時間に適応できないことで起こります。

アメリカ旅行では、日本から見ると時間が「遅くなる」方向に移動するため、初日は夜になっても眠くならない傾向があります。

以下の表で、出発前後に意識すべきポイントをまとめました。

タイミング	対策ポイント
出発2日前	就寝時間を1〜2時間遅らせる。
フライト中	現地時間に合わせて食事・仮眠を取る。
現地到着後	日光を浴び、体内時計をリセット。
帰国時	帰国前日から日本時間のリズムに戻す。

また、スマートフォンや腕時計は現地到着後に自動で時間が切り替わりますが、フライト中は「どの時間が正しいか」混乱しやすいため、必ず1台は現地時間に手動設定しておきましょう。

時差の感覚を早めに掴むことで、到着初日からエネルギッシュに行動できます。

アメリカ標準時子午線の歴史と背景

アメリカの標準時子午線の仕組みは、実は鉄道の発展と深い関係があります。

この章では、どのようにして現在のタイムゾーン制度が誕生したのか、そして世界標準時とのつながりをわかりやすく解説します。

鉄道時代に誕生したアメリカの標準時制度

19世紀後半、アメリカでは鉄道のネットワークが急速に拡大していました。

当時は各都市が独自に「太陽の位置」を基準にした地方時を使っていたため、列車の時刻表が州ごとに異なり、スケジュールの混乱が頻発していました。

この混乱を解消するため、1883年に鉄道会社が共同で全米を4つの標準時に分ける制度を導入しました。

これが現在の「東部・中部・山岳部・太平洋」の4つの基本ゾーンの原型です。

年	出来事
1883年	鉄道会社が「標準時制度」を自主導入。
1884年	ワシントンD.C.で「国際子午線会議」が開催され、グリニッジが世界の基準に。
1918年	アメリカ議会が「標準時法」を制定し、標準時制度を正式に法制化。

つまり、アメリカの標準時制度は政府の命令ではなく、民間企業（鉄道業界）から始まった珍しいケースなのです。

この制度が整備されたことで、全国の交通や通信の効率が劇的に改善されました。

グリニッジ子午線との関係と世界標準時とのリンク

1884年の「国際子午線会議」では、世界の時間の基準をグリニッジ（イギリス）に置くことが決まりました。

アメリカはこの国際基準を採用し、西経75度・90度・105度・120度をそれぞれの標準時子午線と定義しました。

この時、東へ行くほど時間が進み、西へ行くほど遅くなるという地球上の自然な回転の原理を反映しています。

標準時	基準経度	基準との時差
東部標準時（EST）	西経75度	UTC−5
中部標準時（CST）	西経90度	UTC−6
山岳部標準時（MST）	西経105度	UTC−7
太平洋標準時（PST）	西経120度	UTC−8

こうしてアメリカは、国際的な時間基準と整合性を保ちながらも、広大な国土に対応する独自の標準時制度を確立しました。

この仕組みが今日の国際ビジネスや通信ネットワークの基盤になっているのです。

まとめ：アメリカの標準時子午線を理解して時間の感覚をつかもう

ここまで、アメリカの標準時子午線とタイムゾーンについて詳しく見てきました。

最後に、この記事の要点を整理しながら、「時間の感覚」を正しくつかむコツをまとめます。

ポイント	要約
標準時子午線とは	国や地域の標準時を決めるための基準経線。
アメリカの本土構成	東部・中部・山岳部・太平洋の4本を基本とする。
追加ゾーン	アラスカ・ハワイなどを含めて計6本以上。
全体のタイムゾーン数	海外領土を含めると最大10種類。
日本との時差	−14〜−19時間。夏時間中は1時間短縮。
歴史的背景	1883年の鉄道制度が始まりで、1884年に国際標準化。